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R0464 / イラン

ADHDの治療について、本人と親は何を感じている?――イランの若者9人と親10人の声

無地の開いたノート二冊と、その間に置いた鉛筆の線画。

集中しやすくなったと感じても、眠れない、疲れる、話を聞いてもらえないという経験が重なることがあります。イランの研究では、注意欠如・多動症(ADHD)の若者9人と親10人に、治療を受ける中で感じてきたことを聞きました。薬の効果だけでは捉えきれない、本人と親それぞれの声が紹介されています。

テヘランで、本人と親の語りを分けて聞く

参加した若者は12〜16歳で、専門職によるADHDの診断を受け、研究前に少なくとも6か月の薬物治療を経験していました。研究チームはテヘランの治療施設から参加者を募集し、2024年6〜8月に19回の面接を行いました。対面、電話、オンラインを本人や家族の希望に応じて使っています。

親と若者の語りはまず別々に分析し、その後に共通点や違いを比べました。一人の若者について両親が参加したため、若者と親の人数は同じではありません。治療を続ける気持ちや専門職との関係について、若者自身の言葉と親の言葉をそれぞれ取り上げています。

親と若者のADHD治療経験を分けて整理した全体のテーマ構造。全領域、関係線と原図題を含む。
左側から、親のニーズを「治療の課題」「治療を支える要因」に分け、若者本人の治療経験を別の枝に置いています。親の説明を、そのまま本人の気持ちと扱わない分析の構造です。
引用元画面:BMC Psychiatry(2026-10-15取得)/Mobina Karimi, Sogand Ghasemzadeh, Peivand Ghasemzadeh, Keyvan Salehi, Faezeh Shabanali Fami (2026), Fig. 1. © The Author(s) 2026/CC BY 4.0原典:Exploring adolescents' and parents' experiences of pharmacological and non-pharmacological treatment in ADHD: a qualitative study.公式Webの図表全体と原題・原注記を撮影しています。図表の文字・集計値は変更せず、縦横比を保って縮小表示しています。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
親と若者のADHD治療経験を分けて整理した全体のテーマ構造。全領域、関係線と原図題を含む。

集中の変化と、身体や気持ちの負担

若者は、薬を使うことで学校の課題に集中しやすくなった経験を話しました。一方で、食欲の低下、眠りにくさ、疲れなどが、治療への気持ちに関わっていました。親からも、副作用、診断や支援につながるまでの遅れ、費用などが語られています。

図3では、親が経験や心配として挙げた内容が具体的に並んでいます。薬の影響の枝には眠りや食欲の変化、診断・治療の枝には診断の遅れや費用・薬の入手の問題、継続の枝には飲み忘れや副作用を理由にした中断、長く服薬することへの疲れなどが含まれます。これらは聞き取りで出た声で、各症状の発生率や、薬が原因だったかを測った値ではありません。

親の治療経験を、薬の影響、診断・治療、治療継続の三つの課題へ分けて整理した全図。全下位テーマと原図題を含む。
親の語りを、薬の影響、診断・治療へのアクセス、継続の難しさの三群に分けています。眠りや食欲への心配に加え、高い費用、薬の入手の難しさ、飲み忘れなども挙がりました。
引用元画面:BMC Psychiatry(2026-10-15取得)/Mobina Karimi, Sogand Ghasemzadeh, Peivand Ghasemzadeh, Keyvan Salehi, Faezeh Shabanali Fami (2026), Fig. 3. © The Author(s) 2026/CC BY 4.0原典:Exploring adolescents' and parents' experiences of pharmacological and non-pharmacological treatment in ADHD: a qualitative study.公式Webの図表全体と原題・原注記を撮影しています。図表の文字・集計値は変更せず、縦横比を保って縮小表示しています。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
親の治療経験を、薬の影響、診断・治療、治療継続の三つの課題へ分けて整理した全図。全下位テーマと原図題を含む。

薬以外の支援について、役立ったと感じる経験もありました。ただし、これは参加者自身の受け止め方です。薬や心理的支援の種類ごとの効果を、比較群を置いて測定した試験ではありません。

自分の話を聞いてもらえるかどうか

若者の中には、親の見方ばかりが扱われ、自分の気持ちは聞かれないと感じた人がいました。逆に、相談の中で尊重され、治療について説明を受けたことを、安心や信頼につながる経験として話す人もいます。

親が重視する支援へのアクセスや専門職への信頼と、若者が重視する自分の意思や話しやすさには、共通点も違いもありました。この研究は、治療の良し悪しを一つに決めるのではなく、本人と親の立場ごとに異なる経験があることを、19人の語りから示しています。

この記事のまとめ

  • ADHDの治療を受ける本人と親に、経験を分けて聞いた

    イランの若者9人と親10人は、集中しやすくなった経験と、眠り・食欲・疲れなどの負担、説明や意思の扱われ方について語りました。

  • 効果の評価に、本人がどう経験したかを加える

    学校での変化と、本人が聞いてもらえたと感じることを別々に捉えた点に意義があります。薬の種類や治療の優劣を決める試験ではありません。

  • 日本の状況と比べると

    日本の障害児支援の手引きも、子どもの意思を表し、意見を支援に反映する過程を扱います。医療の個別の治療方針を、この福祉の手引きだけで決めることはできません。

    日本の参考資料:こども家庭庁:こどもの意思の尊重・最善の利益の手引き
  • 日本で参考にするなら

    周囲が感じる変化と、本人が感じる負担や希望を分けて記録し、専門職との相談で共有する視点が参考になります。親の意見を本人の意見と同一視しないことも論点です。

日本の制度・資料の確認:2026年11月2日。

出典

Exploring adolescents' and parents' experiences of pharmacological and non-pharmacological treatment in ADHD: a qualitative study.
原典日:2026-06-13 / 取得:2026-10-14

画像について

冒頭の線画は、本人と親の異なる見方を並べて聞くことをイメージした説明イラストです(Jag Project / AI生成)。実際の面接記録や治療教材ではありません。