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R0324 / インド・Kerala州Thiruvananthapuram地区のVarkala/Attingal教育地区

ADHDの知識と、架空事例への回答を分けて調べる――インドの教員303人への調査

白紙の折りたたみカードと開いたノート、閉じた筆入れを並べた線画。

注意欠如・多動症(ADHD)をどれだけ知っているか。子どもの様子を説明した文章を読んで、ADHDと答えるか。研修や専門家への紹介を経験しているか。インド南部の研究は、教員の理解をこれらの異なる問いで調べました。知識テストだけにまとめなかった、調査の中身を紹介します。

教員303人に、知識と経験を別々に尋ねる

調査を行ったのは、インドのマニパル高等教育アカデミーのJemy M Joseらです。研究チームは2023年12月から2024年6月にかけて、Kerala州のThiruvananthapuram地区にあるVarkalaとAttingalの教員303人から回答を集めました。対象は現地の1〜7年生を教える現職教員で、特別支援教員は含めていません。

研究チームは、政府の学校、補助金を受ける学校、私立学校に分けて学校を抽出しました。質問票には教員の属性に加え、ADHDに関する知識問題、架空の子どもの事例、研修や専門家への紹介などの経験を入れています。教員が何を知っているかと、どのような経験をしてきたかを、別の質問で尋ねる設計です。

二つの教育地区の三学校種別から、合計303人の教員を集めたサンプリング図。
調査対象を集めた流れです。二つの教育地区で、政府校、補助金を受ける学校、私立校の教員から303人が参加しました。図中のIncludedが参加した教員数です。
引用元画面:Nigerian Postgraduate Medical Journal(2026-10-16取得)/Jemy M Jose, Vidya Prabhu, Varalakshmi Chandra Sekaran, R. Vani Lakshmi (2026), Figure 1; Copyright © 2026 Nigerian Postgraduate Medical Journal. 著者名は正式訂正 DOI 10.4103/npmj.npmj_429_26 に基づく。/原典の条件:CC BY-NC-ND 4.0本文の説明・検討のために引用。原典:What Predicts Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Literacy in Primary Schoolteachers?公式ページの全図表と原キャプションを範囲撮影。内容・数値・配置は変えず、縦横比を保って表示。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
二つの教育地区の三学校種別から、合計303人の教員を集めたサンプリング図。

39問の正答率と、事例を読んだ回答は違う指標

知識問題には、ADHDに関する知識尺度「KADDS」を使いました。論文が説明する質問票は39項目で、症状と診断、治療、原因や経過などの一般情報を扱います。正答を1点、誤答と「分からない」を0点として集計しました。研究チームが正答率60%未満を「知識が低い」と分類したところ、98.7%の教員がこの区分に入りました。これは、この質問票と分類基準による結果です。

一方、架空事例では、ADHDの症状がある子どもの場面を文章で示し、教員がどう捉えるかを尋ねました。ADHDと認識した回答者は108人、35.6%でした。また、子どもに支援が必要だと答えた教員は247人、81.5%でした。

知識問題の正答と、事例から状態を認識する回答は、同じものを測っているわけではありません。病名を答えることと、支援の必要性を感じることも別の問いです。この調査で示されたのは架空事例への回答で、実際の子どもに対する診断の成否ではありません。

研修への参加、専門家への紹介も一つにまとめない

教員自身の経験を尋ねた表では、子どものメンタルヘルスに関する正式な研修に参加したことがある教員は46人、15.2%でした。行動上の問題がある児童を把握した経験は168人、専門家へ紹介した経験は115人と報告されています。紹介経験の割合38%は、回答者303人全体を分母にした値です。

303人の教員が研修、把握、紹介、情報探索を経験したかを、項目別の人数と割合で示した表。
教員303人のうち、子どものメンタルヘルスの正式な研修経験は46人(15.2%)に対し、自分で情報を探した経験は241人(79.5%)でした。専門家へ紹介した経験は115人(38%)で、学ぶ経路と紹介経験を分けています。
引用元画面:Nigerian Postgraduate Medical Journal(2026-10-16取得)/Jemy M Jose, Vidya Prabhu, Varalakshmi Chandra Sekaran, R. Vani Lakshmi (2026), Table 3; Copyright © 2026 Nigerian Postgraduate Medical Journal. 著者名は正式訂正 DOI 10.4103/npmj.npmj_429_26 に基づく。/原典の条件:CC BY-NC-ND 4.0本文の説明・検討のために引用。原典:What Predicts Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Literacy in Primary Schoolteachers?公式ページの全図表と原キャプションを範囲撮影。内容・数値・配置は変えず、縦横比を保って表示。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
303人の教員が研修、把握、紹介、情報探索を経験したかを、項目別の人数と割合で示した表。

これらの経験に関する質問は、ADHDだけに限定した診断・紹介の記録ではありません。研究チームは、知識問題や架空事例と並べて、教員が子どものメンタルヘルスに関して取ってきた行動を尋ねています。

調査は一時点の質問票によるもので、研修前後の変化や、その後の子どもの学習・生活を追った研究ではありません。知識の正答、事例への回答、研修・紹介の経験を分けて読むと、この調査が教員の理解について何を尋ねたのかが見えてきます。

この記事のまとめ

  • ADHDの知識と、事例を読んだときの答えを別々に調べた

    インドの教員303人に、知識問題、架空事例の認識、研修や紹介の経験を尋ねました。病名を答えられることと、支援が必要だと考えることは異なる回答でした。

  • 知識テストだけで研修の必要性を決めない

    診断名の認識、支援の必要性、相談先への橋渡しを分けて捉えた点に意義があります。実際の児童の診断精度を測った調査ではありません。

  • 日本の状況と比べると

    日本ではNISE学びラボが講義や理解度チェックを提供しています。インドの質問票の得点と、国内の研修受講や現場対応の力は、同じ物差しではありません。

    日本の参考資料:国立特別支援教育総合研究所:NISE学びラボ日本の参考資料:文部科学省:教育支援の手引・注意欠陥多動性障害
  • 日本で参考にするなら

    研修後に知識が増えたかに加え、子どもの場面をどう捉え、誰へ相談するかを話し合う構成を考える際に参考になります。

日本の制度・資料の確認:2026年11月2日。

出典

What Predicts Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Literacy in Primary Schoolteachers?
原典日:2026-07-02 / 取得:2026-10-14

Erratum: What Predicts Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder Literacy in Primary Schoolteachers?
原典日:2026-08-17 / 取得:2026-10-14

画像について

冒頭の線画は、質問への回答や学ぶ場をイメージしたものです。実際の質問票や、調査時の備品を再現したものではありません。