ASD児の「注意」を教育者はどう見ている?――4か国674人が答えた2020年の調査

自閉スペクトラム症(ASD)の子どもの「注意」を見るとき、課題への集中、集中を続けること、人や物に気づくことなど、どの場面に目を向けるのでしょうか。バーミンガム大学が公開している、自閉症の注意に関する教員研修プロジェクト(TTAA)の報告書は、4か国の教育者が答えた2020年の調査をまとめています。日々の観察や話し合いと、注意に関する知識への自信を分けて読める資料です。
2020年、4か国の教育関係者674人に尋ねた
調査は2020年4月15日から6月30日まで、オンラインで行われました。回答者は英国209人、ギリシャ204人、イスラエル148人、スペイン113人の計674人です。質問票の参加案内では、5〜11歳の子どもとの業務経験に加え、現在または過去に少なくとも1人のASDの子どもとの業務経験がある教育関係者を対象としています。児童本人の注意や学習成果を測る試験ではありません。
TTAAには4か国の大学・学校・研修団体など9組織が参加し、西マケドニア大学とバーミンガム大学が質問票の開発を主導しました。英語で作った質問票をヘブライ語、スペイン語、ギリシャ語にも訳しています。「注意とは何か」という自由回答の分類には、課題や活動への集中、集中の維持、人や物への気づきなどが並んでいました。
観察メモと、同僚・保護者との話し合い
注意を評価する方法については、使う頻度を「全く使わない」から「いつも使う」までの5段階で尋ねました。「子どもの行動を観察し、自由にメモを取る」は、4か国とも「よく使う」「いつも使う」が過半数でした。

引用元PDF:Teachers’ perceptions related to attention in autism (QTPAA): State-of-the-art report on attention in autismTeacher Training and Attention in Autism (TTAA) project / 大学公式プロジェクト報告書/調査2020年4〜6月・公表年月日未確認
Figure 37 / 物理63頁(印刷62頁)元PDF取得(UTC):2026-10-14 / 原図画像化(UTC):2026-10-17(原PDFの忠実な画像化)原PDFの連続領域を200dpiで画像化。4か国・全頻度・赤い中央値線・原凡例・captionを保持し、数値変更・再組版なし。可逆WebP変換のみ。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)

「同僚や保護者と子どもの行動について話し合う」も多く使われていました。この二つの頻度区分を合わせると、英国は回答207人中176人、ギリシャは201人中179人、イスラエルは139人中116人、スペインは108人中88人です。質問によって回答者数が異なるため、全674人を分母にはしていません。

引用元PDF:Teachers’ perceptions related to attention in autism (QTPAA): State-of-the-art report on attention in autismTeacher Training and Attention in Autism (TTAA) project / 大学公式プロジェクト報告書/調査2020年4〜6月・公表年月日未確認
Figure 42 / 物理68頁(印刷67頁)元PDF取得(UTC):2026-10-14 / 原図画像化(UTC):2026-10-17(原PDFの忠実な画像化)原PDFの連続領域を200dpiで画像化。4か国・全頻度・赤い中央値線・原凡例・captionを保持し、数値変更・再組版なし。可逆WebP変換のみ。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)

追加の自由回答には、子ども本人と課題への集中について話す、非言語的な方法で本人の見方を聞く、本人にどう手助けできるか尋ねる、といった方法も挙げられています。ここで分かるのは教育者が報告した実践であり、どの方法が注意技能を伸ばしたかという比較結果ではありません。
知識への自信は、国別で異なった
注意の困難に関する自分の知識への自信は、4段階で尋ねています。英国では「かなり自信がある」「非常に自信がある」の合計が207人中128人、61.8%でした。一方、ギリシャ、イスラエル、スペインでは「少し自信がある」が最も多く、それぞれ有効回答202人中95人、146人中70人、109人中67人でした。
この結果を、4か国の教育者が一様に自信を持っていなかった、とまとめることはできません。また、知識への自信は正答率や教育成果とは別の自己評価です。報告書は、国ごとの回答者数や集団の構成、翻訳による質問理解、統計方法などの限界を挙げています。学校や連携団体、SNSなどを通じて募った回答であり、各国全体を代表する数値としては扱えません。
この記事のまとめ
- ASD児の注意を、教育者がどう観察し相談しているかを調べた
英国・ギリシャ・イスラエル・スペインの教育者674人への2020年の調査では、観察記録、同僚や保護者との対話、知識への自信を尋ねました。
- 現場で使う方法と、知識への自信を分けて捉えた
似た方法を使っていても、自信の回答には国ごとの違いがありました。研修で何を補うかを考える資料であり、方法の優劣を決める効果試験ではありません。
- 日本の状況と比べると
日本のNISE学びラボはオンライン講義に加え、職場での研修企画資料も提供しています。国外の2020年の回答は、日本の教員の現在の自信を表す数値ではありません。
日本の参考資料:国立特別支援教育総合研究所:NISE学びラボ - 日本で参考にするなら
注意の向け方や続き方を具体的な場面で記録し、同僚・家族との対話や研修で共通理解をつくる観点が参考になります。
日本の制度・資料の確認:2026年11月2日。
出典
Teachers’ perceptions related to attention in autism (QTPAA): State-of-the-art report on attention in autism
原典日:公表日未記載 / 取得:2026-10-14
画像について
冒頭の線画は、観察と対話をイメージしたものです。調査に参加した教育者や、実際の教室を描いたものではありません。



