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R0243 / 中国・マレーシア

自閉症児の遊び道具、欲しいのは新機能だけ? 中国とマレーシアで価格・安全・反応への声

触感マット、布ボール、木のおもちゃと収納棚、無地の価格札を描いたイラスト。

触る、光る、音が出る。自閉スペクトラム症(ASD)の子どもの気持ちを支える遊び道具を、家族や教員は何を基準に選んでいるのでしょうか。中国とマレーシアの30人への聞き取りには、価格と安全性に加え、使ったときに期待した反応が返ってこないという不満も出てきました。

触感、光、音を使う道具について、使う側に聞く

この研究で扱うのは、感触のあるマットや柔らかい遊び道具、光や音を使う道具などです。研究者は、子どもの感情や落ち着き方を支える遊び道具を、専門的な治療機器とは区別して参加者に説明しました。

参加者は中国15人、マレーシア15人の計30人です。親・主な養育者20人と、ASD児を支える施設などで働く教員10人を対象に、オンラインまたは対面で約30分の聞き取りを行いました。子ども本人に使ってもらって効果を測った試験ではなく、大人が見聞きした経験や要望を集めています。

役立つか、払えるか、安全か。購入時の三つの発言

表10には、購入時に重視することの例が三つ載っています。子どもの役に立つかをまず考え、次に価格と安全性を見るという発言、周囲の評判がよければ検討するという発言、安全で手頃で子どもに合うことを重視する発言です。

三つの発言に共通するのは、機能が多いかどうかだけで選んでいないことです。役立ちそうか、買える価格か、安全か、ほかの人の評判はどうか。それぞれが、購入を考える理由として挙がっています。

表の右側は、聞き取りの発言を識別するコードです。研究者が選んだ三つの発言を、機能への期待、価格、安全性といった話題へ結び付けて読むことができます。

表10。役に立つか、価格、安全性、周囲の評判などが挙がっています。回答者の発言例で、全30人の購入順位や支持率ではありません。
表10。役に立つか、価格、安全性、周囲の評判などが挙がっています。回答者の発言例で、全30人の購入順位や支持率ではありません。
出典:©2026 Yiming Xing et al. / Frontiers in Psychology。PDF提供:PubMed Central(NLM)。 / Table 10 / CC BY 4.0
NLMが正規配信する正式版PDFの原図表全体・原caption・注記を連続範囲で画像化しWebPへ変換。数値/文字/配列を変えず、翻訳画像・継ぎ合わせ・補修なし。
図表を原寸で読む(横に移動できます)
表10。役に立つか、価格、安全性、周囲の評判などが挙がっています。回答者の発言例で、全30人の購入順位や支持率ではありません。
図表の出典と表示範囲

Design and application of emotion-oriented play-learning tools for children with autism: a cross-cultural qualitative study of parents and teachers in China and Malaysia
Yiming Xing et al.
Published version deposited in PMC; PMC13171507.1 / PDF 8頁
Table 10
PDF取得:2026-11-04 / 画像化:2026-11-04(原PDFを216 dpiで画像化)

使い始めてから分かった危険や、期待とのずれ

表12には、市場で見つかる道具の使いづらさが載っています。ある回答者は、おもちゃと一緒になった菓子の粒を、子どもが鼻に入れた経験を語りました。別の回答者は価格の高さを挙げています。

ほかには、子どもの声をまねるだけで、感情に合わせた反応がないという不満がありました。ここで挙がっているのは、回答者が期待した使い方と、実際の反応とのずれです。

鼻に入れた菓子の粒、買うときの価格、使ったときの反応。表12には、使う前と使い始めた後の、異なる心配が並んでいます。商品にどんな機能があるかに加えて、家族がどの場面で困ったかが分かる表です。

表12。菓子と組み合わさった道具での危険な経験、価格の高さ、声をまねるだけで反応が乏しいという不満の例です。事故率や効果を測った集計ではありません。
表12。菓子と組み合わさった道具での危険な経験、価格の高さ、声をまねるだけで反応が乏しいという不満の例です。事故率や効果を測った集計ではありません。
出典:©2026 Yiming Xing et al. / Frontiers in Psychology。PDF提供:PubMed Central(NLM)。 / Table 12 / CC BY 4.0
NLMが正規配信する正式版PDFの原図表全体・原caption・注記を連続範囲で画像化しWebPへ変換。数値/文字/配列を変えず、翻訳画像・継ぎ合わせ・補修なし。
図表を原寸で読む(横に移動できます)
表12。菓子と組み合わさった道具での危険な経験、価格の高さ、声をまねるだけで反応が乏しいという不満の例です。事故率や効果を測った集計ではありません。
図表の出典と表示範囲

Design and application of emotion-oriented play-learning tools for children with autism: a cross-cultural qualitative study of parents and teachers in China and Malaysia
Yiming Xing et al.
Published version deposited in PMC; PMC13171507.1 / PDF 9頁
Table 12
PDF取得:2026-11-04 / 画像化:2026-11-04(原PDFを216 dpiで画像化)

新しい機能と、暮らしの中で使えること

研究チームは、安全性、価格や維持のしやすさ、家族と現場の協力などを、道具を考える上での論点として整理しました。聞き取りには、参加者による見方の違いと、翻訳によって意味の細部が変わる可能性があります。

今回紹介した発言から見えるのは、感情を支える道具という名前だけでは、買う理由も使いやすさも決まらないということです。誰が、どこで、何を期待して使うかを聞くことが、製品の機能とは別の情報になっています。

この記事のまとめ

  • 遊び道具を選び、使う側の基準と経験を聞いた

    中国・マレーシアの親や教員30人が、ASD児の感情を支える遊び道具について答えました。新製品の実証試験ではなく、使う側の経験を集めた調査です。

  • 目新しい機能の前に、安全性と負担を具体的にした

    家族や教員の発言には、価格、安全、使ったときの反応が挙がりました。機能一覧だけでは見えない、買う側と使う側の経験を集めています。

  • 日本の指針も、一人ひとりの感覚と生活に合わせた支援を扱う

    児童発達支援ガイドラインは、感覚の特性を踏まえた環境や支援の工夫を扱います。感覚を使う支援そのものが日本にないわけではなく、本稿の新しさは海外の利用側の具体的な声です。

    日本の参考資料:こども家庭庁:児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)
  • 導入前に、使う人が負う手間や心配も聞く

    国内で道具を検討する際にも、機能と価格に加え、どこへ置き、何を期待し、使った後にどう感じたかを聞けます。製品の一覧には載りにくい、家族と現場の使い方を読む材料です。

    日本の参考資料:こども家庭庁:児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)

日本の制度・資料の確認:2026年11月4日。

出典

Design and application of emotion-oriented play-learning tools for children with autism: a cross-cultural qualitative study of parents and teachers in China and Malaysia(NLM公開の原著PDF)
原典日:2026-04-30 / 取得:2026-11-04

画像について

冒頭のイラストは、遊び道具の使いやすさと選び方を考えるための概念画です。研究で使った実物や、特定の商品を再現したものではありません。描かれた道具の安全性や効果を保証するものでもありません。