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R0421 / 豪州・イタリア

自閉症児の支援を、親と専門職が一緒に選ぶには? 豪州とイタリアの資料・講習・研修の試み

異なる三脚の椅子で丸い机を囲み、説明資料とノートを広げた話し合いのイラスト。

支援の選択肢を知るだけでなく、自分たちは何を大切にするかを専門職と話し合う。自閉スペクトラム症(ASD)児の支援で、こうした「共同意思決定」を試した豪州とイタリアの二研究があります。レビューは、親への資料と講習、専門職の研修を紹介し、その評価にはまだ限界があるとしています。

選択肢と根拠を知り、家族の希望を話す方法

共同意思決定は、専門職が選択肢と根拠を説明し、家族の希望や大切にしていることを話し合いながら決める方法です。レビューは四つの文献データベースと二つの臨床試験登録を調べ、条件に合う介入研究を選びました。

採用されたのは、オーストラリアの2011年の研究と、イタリアの2015年の研究です。対象の子どもは、それぞれ29〜60か月、34〜92か月でした。検索の最終日は2023年7月で、それ以降の研究すべてを含む一覧ではありません。

原著の表1前半は、豪州とイタリアの研究の目的、設計、実施場所、使った評価、介入の組み合わせを並べています。豪州は同じ参加者の前後を調べる設計、イタリアは無作為割付によらない準実験の設計です。右端の欄では、豪州の資料と講習の順番の違い、イタリアの親の参加に専門職研修を加える群など、何を比べたのかが分かります。

表1の前半。研究設計、実施場所、評価、介入内容を二研究で比べています。右端は、資料と講習の順番や、専門職研修を加える群などの比較です。後半の参加者属性と続きの頁は省略しました。
表1の前半。研究設計、実施場所、評価、介入内容を二研究で比べています。右端は、資料と講習の順番や、専門職研修を加える群などの比較です。後半の参加者属性と続きの頁は省略しました。
出典:©2026 Khaikinほか / Community Mental Health Journal / Table 1 前半(後半/次頁省略) / CC BY 4.0
原PDFの表1前半を連続範囲で画像化し、読める向きへ90度回転。後半の参加者属性と次頁は省略。全列/両研究の行は保持。原数値・文字・配置を変更せず、描き直し・継ぎ合わせなし。
図表を原寸で読む(横に移動できます)
表1の前半。研究設計、実施場所、評価、介入内容を二研究で比べています。右端は、資料と講習の順番や、専門職研修を加える群などの比較です。後半の参加者属性と続きの頁は省略しました。
図表の出典と表示範囲

Shared Decision Making Interventions for Parents of Children on the Autism Spectrum: A Systematic and Scoping Review
Shely Khaikin, Beth Pfeiffer, Amber Pomponio Davidson, Andrea Goldstein Shipper, Stephanie Roth, Joanne Nicholson, Bryan Mccormick, Alexander G. Fiks, David S. Mandell, Yaara Zisman-Ilani
Version of Record / online 2 March 2026; August issue / PDF 3頁
Table 1 前半(後半/次頁省略)
PDF取得:2026-11-04 / 画像化:2026-11-04(原PDFを216 dpiで画像化)

検索で見つかった文献から、条件に合う二研究を採用

図1は、文献を探して採用するまでの流れです。初回と追加の検索を合わせた7610件から重複を除き、5721件を選別しました。全文を確認した19件のうち、介入研究でないものなど17件を除き、最終的に二研究を採用しています。

図1。検索7610件から重複を除いて5721件を選別し、19件の全文を確認、最終的に二研究を採用しました。介入の成功率ではなく、レビューの選定過程です。
図1。検索7610件から重複を除いて5721件を選別し、19件の全文を確認、最終的に二研究を採用しました。介入の成功率ではなく、レビューの選定過程です。
出典:©2026 Khaikinほか / Community Mental Health Journal / Figure 1 / CC BY 4.0
原PDFの独立した図全体とcaptionを連続範囲で画像化。原数値・文字・配置を変更せず、描き直し・継ぎ合わせなし。
図表を原寸で読む(横に移動できます)
図1。検索7610件から重複を除いて5721件を選別し、19件の全文を確認、最終的に二研究を採用しました。介入の成功率ではなく、レビューの選定過程です。
図表の出典と表示範囲

Shared Decision Making Interventions for Parents of Children on the Autism Spectrum: A Systematic and Scoping Review
Shely Khaikin, Beth Pfeiffer, Amber Pomponio Davidson, Andrea Goldstein Shipper, Stephanie Roth, Joanne Nicholson, Bryan Mccormick, Alexander G. Fiks, David S. Mandell, Yaara Zisman-Ilani
Version of Record / online 2 March 2026; August issue / PDF 6頁
Figure 1
PDF取得:2026-11-04 / 画像化:2026-11-04(原PDFを216 dpiで画像化)

検索で二研究に絞られたのは、このレビューが定めた対象と研究方法に合っていたためです。資料配布、講習、研修を使った二つの取り組みを、実施した内容と評価の方法から詳しく見ています。

親への資料と講習、専門職への話し合いの研修

豪州では、言語支援の選択肢や根拠、専門職に尋ねる質問をまとめた資料と、話し合える講習を組み合わせました。親は質問票で、利用できる支援への理解や、何を尋ねればよいかという理解が高まったと回答しています。一方、質問するときの気楽さには有意な変化がありませんでした。

イタリアでは、家族が支援に参加するプログラムに、専門職向けの共同意思決定研修を組み合わせました。この研究で報告された親のデータは母親の回答です。レビューは、研修を含む群で、話し合いに関する専門職の技能と母親の参加の評価に改善が報告されたと整理しています。知識を渡す方法と、話し合いを支える方法の両方が含まれています。

改善方向の報告はあるが、欠測や方法の限界もある

豪州の研究は親28人が開始しましたが、事後の質問票を終えたのは12人でした。レビューは、両研究に欠測や方法の報告不足などがあり、偏りのリスクが高く、研究の質も低いと評価しています。

豪州では親の理解、イタリアでは母親の話し合いへの参加などに、改善方向の報告がありました。ただし、回答の欠落や方法の報告不足があり、レビューは研究の質を低いと評価しています。具体的な取組を知る材料である一方、どの施設でも同じ変化が起きると判断する根拠は限られています。

この記事のまとめ

  • 支援方法を選ぶ過程を、資料と話し合いの両面から調べた

    レビューは2023年7月までの検索から豪州とイタリアの二研究を採用しました。資料と講習、専門職の共同意思決定研修などを扱っています。

  • 何を知るかと、話し合いにどう参加するかを分けて示した

    資料で知ることと、話し合いに参加することを支える試みです。改善方向の報告はありますが、二研究とも方法上の限界が大きいと評価されています。

  • 日本の指針も、家族への説明と一緒に考える支援を位置付ける

    こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインは、本人への支援に家族への支援や地域との連携を組み合わせます。海外二研究が試した資料や講習は、選択肢を説明することと、家族が希望を話せることをどうつなぐかを考える材料です。

    日本の参考資料:こども家庭庁:児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)
  • 資料を渡した後に、質問や希望を共有する場を用意する

    支援の選択肢を説明することと、家族が聞きたいことや大切にすることを話せる過程を分けて点検する視点が参考になります。

    日本の参考資料:こども家庭庁:児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)

日本の制度・資料の確認:2026年11月4日。

出典

Shared Decision Making Interventions for Parents of Children on the Autism Spectrum: A Systematic and Scoping Review
原典日:2026-03-02 / 取得:2026-11-04

画像について

冒頭のイラストは、家族と専門職が選択肢を一緒に考える場のイメージです。二研究で使われた施設や資料を再現したものではありません。