自閉症児の家族は何に困り、どこで情報を得る? モロッコで都市と地方の回答に違い

子どもの着替えやトイレ、意思疎通。家族が特に重いと感じる困難は、暮らす地域によって違うのでしょうか。モロッコの養育者131人への調査では、地方は自立した動作、都市は社会的な意思疎通を挙げる割合が高くなりました。情報の得方にも違いが見られます。
都市54人、地方77人の回答を集める
研究チームは、支援学校やセンター、親の団体などを通じて参加者を募りました。194人の回答から、成人の養育者や正式な診断のない子どもの養育者、別の診断のケースを除き、131人を分析しています。モロッコ12地域のうち五地域からの回答です。
この研究では、人口10万人を超える地域を都市、小さな町や村を地方と分類しています。回答者は都市54人、地方77人です。子どもの診断については養育者に申告してもらい、それぞれの地域の家族が語る生活を比べています(全国から無作為に募った標本ではありません)。
地方では着替えやトイレ、都市では意思疎通への困りごと
原著によると、着替えやトイレなどの自立した動作の難しさは、特に重い困難として地方で35%、都市で20%が挙げました。社会的な意思疎通の難しさは、都市19%、地方4%でした。子どもがどんな場面で支えを必要としているかについて、家族の回答が分かれています。
一方、改善してほしいサービスとしては、都市でも地方でも保健医療や教育が挙がりました。家族向けの研修では、意思疎通や日常生活を支える方法を学びたいという希望が出ています。生活で何に困っているかと、何を学びたいかは、別々の質問で聞いています。
図2は、重く感じる困難、改善を優先したいこと、研修で学びたい内容の三段です。上段では自立した動作と社会的な意思疎通に地域差があり、中段では保健医療や教育の改善が挙がっています。困りごと、改善への希望、学びたいことを別々に聞いた結果が並んでいます。

出典:©2023 Maretha de Jonge et al. / Autism / SAGE。PDF提供:PubMed Central(NLM)。 / Figure 2 / CC BY 4.0
NLMが正規配信する正式版PDFの原図表全体・原caption・注記を連続範囲で画像化しWebPへ変換。数値/文字/配列を変えず、翻訳画像・継ぎ合わせ・補修なし。
図表を原寸で読む(横に移動できます)

図表の出典と表示範囲
Urban and rural differences in needs, service use and satisfaction among caregivers of autistic children in Morocco
Maretha de Jonge et al.
Published version deposited in PMC; PMC10771028.1 / PDF 6頁
Figure 2
PDF取得:2026-11-04 / 画像化:2026-11-04(原PDFを216 dpiで画像化)
ネットと、ほかの親。複数ある情報の入り口
図3では、都市の54人中38人、地方の77人中34人が、情報源としてインターネットを挙げています。ほかのASD児の親を挙げたのは都市23人、地方36人でした。異なる人数の地域を比べるときには、実数と割合を分けて読む必要があります。
回答者は、学校や支援団体などを通じて調査に参加した家族です。そうした場につながっていない家庭の情報源は、今回の回答には十分表れない可能性があります。地域ごとの困りごとと、実際に使われている情報の窓口を並べて見られる調査です。
図3では、棒が割合、括弧内が人数です。ネットを挙げたのは都市38人、地方34人と近い人数ですが、全体は都市54人、地方77人なので、割合は違います。他の親を情報源にした回答も両地域にあり、家族が頼る窓口は一つではありませんでした。

出典:©2023 Maretha de Jonge et al. / Autism / SAGE。PDF提供:PubMed Central(NLM)。 / Figure 3 / CC BY 4.0
NLMが正規配信する正式版PDFの原図表全体・原caption・注記を連続範囲で画像化しWebPへ変換。数値/文字/配列を変えず、翻訳画像・継ぎ合わせ・補修なし。
図表を原寸で読む(横に移動できます)

図表の出典と表示範囲
Urban and rural differences in needs, service use and satisfaction among caregivers of autistic children in Morocco
Maretha de Jonge et al.
Published version deposited in PMC; PMC10771028.1 / PDF 9頁
Figure 3
PDF取得:2026-11-04 / 画像化:2026-11-04(原PDFを216 dpiで画像化)
この記事のまとめ
- 家族が求める支えと情報源を、都市・地方で比べた
モロッコ五地域の養育者131人に、困りごと、改善したいサービス、研修の希望、情報源を別々に聞きました。
- 同じ診断でも、まず支えてほしい生活の場面は一様でない
困りごとと情報源は、地域で回答が違いました。家族へ情報を届ける際、生活の条件と、実際に頼る人や媒体を見る手掛かりです。
- 日本の指針も、家族の相談や家族同士の交流を位置付ける
児童発達支援ガイドラインは、家族の困りごとへの相談援助や保護者の交流を扱います。モロッコの都市・地方の区分や情報源の割合を日本へ当てはめることはできません。
日本の参考資料:こども家庭庁:児童発達支援ガイドライン(令和6年7月) - 家族が必要とする情報と、届く窓口を分けて考える
何を知りたいかに加え、誰に聞き、どの媒体を使うかを確かめる視点が参考になります。
日本の参考資料:こども家庭庁:児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)
日本の制度・資料の確認:2026年11月4日。
出典
Urban and rural differences in needs, service use and satisfaction among caregivers of autistic children in Morocco(NLM公開の原著PDF)
原典日:2023-02-17 / 取得:2026-11-04
画像について
冒頭のイラストは、地域で異なる支援と情報の接点を考えるための概念画です。調査した町や参加者の生活環境を再現したものではありません。



