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R0032 / ネパール

家族からの支えと、親の気持ちへの満足は別? ネパールの自閉症児の親140人に聞く

窓辺のテーブルを囲む椅子と茶器、ノート、子どもの積み木を描いた版画風のイラスト。

周囲に頼れる人がいても、親自身の気持ちが楽になるとは限りません。ネパールで自閉スペクトラム症(ASD)の子どもの親140人に聞いた調査では、家族から強い支えを感じる人が多い一方、暮らしの満足度を調べた五つの領域では、感情面の健康の平均点が最も低くなっていました。

八つの支援施設を通じて、親140人に尋ねる

研究チームは、カトマンズ、ラリトプル、バクタプルの八つの自閉症支援施設を通じて、18歳未満のASD児の親を募りました。調査期間は2024年11月25日から2025年1月19日です。ネパール語の質問票を使って対面で回答を集め、そのうち11人には詳しい聞き取りも行っています。

回答したのは、支援施設につながっている家族です。親本人が感じる周囲の支えと、暮らしへの満足を尋ねました。支援施設を利用していない家族の経験は、今回の回答には含まれていません。

家族からの支えが「高い」は103人、友人は66人

表4は、周囲からどの程度支えられていると感じるかを、家族、友人、自分にとって大切な人に分けて集計しています。「高い支え」の区分だったのは、家族では103人、友人では66人でした。

「自分にとって大切な人」から強い支えを感じると答えたのは107人でした。この呼び方には、配偶者に限らない相手が含まれます。調べたのは、支援の件数や金額ではなく、本人がどの程度支えられていると感じるかです。

家族からの支えは、低い17人・中くらい20人・高い103人。友人からの支えは、それぞれ20人・54人・66人でした。家族については高いと答えた人が多く、友人については中くらいと答えた人が増えています。

表4。家族からの支えが高い区分は103人、友人は66人、大切な人は107人でした。親140人の自己評価で、支援金や利用件数ではありません。
表4。家族からの支えが高い区分は103人、友人は66人、大切な人は107人でした。親140人の自己評価で、支援金や利用件数ではありません。
出典:©2026 Sajani Basan et al. / PLOS Global Public Health。PDF提供:PubMed Central(NLM)。 / Table 4 / CC BY 4.0
NLMが正規配信する正式版PDFの原図表全体・原caption・注記を連続範囲で画像化しWebPへ変換。数値/文字/配列を変えず、翻訳画像・継ぎ合わせ・補修なし。
図表を原寸で読む(横に移動できます)
表4。家族からの支えが高い区分は103人、友人は66人、大切な人は107人でした。親140人の自己評価で、支援金や利用件数ではありません。
図表の出典と表示範囲

Quality of life, stress and its coping strategies among the parents of children with autism spectrum disorder in Kathmandu Valley: A mixed method study
Sajani Basan et al.
Published version deposited in PMC; PMC13496449.1 / PDF 9頁
Table 4
PDF取得:2026-11-04 / 画像化:2026-11-04(原PDFを216 dpiで画像化)

暮らしの満足度は、感情面の平均が最も低かった

研究では、家族の生活の質を、家族内の関わり、子育て、感情面の健康、身体・物質的な暮らし、障害に関する支えの五領域で調べました。各質問の回答は、満足していない側の1から満足している側の5までです。

表5の平均は、家族内の関わりが4.092、感情面の健康が3.610でした。感情面の値は、この標本の五領域の中で最も低くなっています。家族としての関わりを評価しながら、親自身の気持ちには別の負担がある可能性を考える手がかりです。

表5は、平均に加えて実際の最小値・最大値と標準偏差を示しています。たとえば感情面の健康は平均3.610、標準偏差0.800で、身体・物質的な暮らしは平均4.107でした。平均の比較だけで全員が同じ満足度だったとは言えず、領域間の統計的な有意差も、この表からは判断できません。

表5。回答は1〜5で、感情面の健康の平均3.610は、この標本の五領域で最も低い値でした。平均値の大小を示す表で、領域間の有意差を判定した表ではありません。
表5。回答は1〜5で、感情面の健康の平均3.610は、この標本の五領域で最も低い値でした。平均値の大小を示す表で、領域間の有意差を判定した表ではありません。
出典:©2026 Sajani Basan et al. / PLOS Global Public Health。PDF提供:PubMed Central(NLM)。 / Table 5 / CC BY 4.0
NLMが正規配信する正式版PDFの原図表全体・原caption・注記を連続範囲で画像化しWebPへ変換。数値/文字/配列を変えず、翻訳画像・継ぎ合わせ・補修なし。
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表5。回答は1〜5で、感情面の健康の平均3.610は、この標本の五領域で最も低い値でした。平均値の大小を示す表で、領域間の有意差を判定した表ではありません。
図表の出典と表示範囲

Quality of life, stress and its coping strategies among the parents of children with autism spectrum disorder in Kathmandu Valley: A mixed method study
Sajani Basan et al.
Published version deposited in PMC; PMC13496449.1 / PDF 9頁
Table 5
PDF取得:2026-11-04 / 画像化:2026-11-04(原PDFを216 dpiで画像化)

親の声を、子どもの支援と並べて聞く

同じ時点で親の経験を集めた研究なので、家族の支えを増やせば暮らしの満足が何点上がる、という効果を示したものではありません。また、施設につながっていない家庭の経験は、この調査からは捉えられません。

子どもが支援を受けているかに加えて、親は誰を頼れ、自分の暮らしにどう感じているかを聞く。この調査は、その二つを分けて尋ねることで、家族の関係と親自身の気持ちの違いを見せています。

この記事のまとめ

  • 親140人の感じる支えと、家族の暮らしを別々に聞いた

    カトマンズ盆地の八施設を利用する親に、周囲からの支えと生活の質を対面の質問票で尋ねました。回答は、施設につながる家庭の経験を捉えています。

  • 子どもの支援だけでなく、親自身の気持ちを記録した

    家族との関係を評価しながら、感情面の満足は低いという違いがありました。子どもの支援と合わせて、親自身の暮らしを尋ねる意味が見えてきます。

  • 日本の指針も、家族の相談と家族全体への支援を扱う

    児童発達支援ガイドラインは、家族の困りごとへの相談や心理面の支え、家族全体を見る視点を位置付けています。海外の尺度で測った平均値を、国内の満足度と直接比較することはできません。

    日本の参考資料:こども家庭庁:児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)
  • サービスの利用だけでなく、誰に支えられているかを聞く

    日本の家族支援でも、相談相手がいるかと、親が自分の暮らしをどう感じているかは別々に聞けます。頼れる人がいるという返事だけで、親の気持ちまで分かったことにしないための例です。

    日本の参考資料:こども家庭庁:児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)

日本の制度・資料の確認:2026年11月4日。

出典

Quality of life, stress and its coping strategies among the parents of children with autism spectrum disorder in Kathmandu Valley: A mixed method study(NLM公開の原著PDF)
原典日:2026-08-21 / 取得:2026-11-04

画像について

冒頭のイラストは、家族の支えと親自身の暮らしを考えるための概念画です。調査に参加した家族の住居やカトマンズの実際の眺めを再現したものではありません。