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R0196 / ニュージーランド

支援を利用していても、学校に通えているとは限らない。ニュージーランドの自閉症児の記録

開いた教室の扉と通学かばんを描いた説明イラスト。

学校の支援を利用する人数だけでは、子どもが日々通えているかは見えてきません。ニュージーランドの行政記録を比べると、自閉スペクトラム症(ASD)の診断記録がある子どもは支援の利用が多い一方、定期的に出席していた割合は比較群より低くなっていました。

約52万人の行政記録から、条件の近い子どもを比較

研究チームが対象にしたのは、2019年に5〜12歳だった517,872人です。病院やメンタルヘルス、障害支援サービスの記録にASDの診断があったのは8,169人。そのうち2,349人には知的障害の記録がありました。

比較するときは年齢や性別などの条件を合わせ、ASDの記録がある8,040人と、比較群80,367人を分析しました。診断の記録がある子どもの全員が、この比較に入ったわけではありません。また、比較群には、ASDがあっても記録されていない子どもが含まれる可能性があります。

在籍94.9%と97.4%――学びの場にも違い

比較した群で、年内に学校への在籍が記録された割合は、ASD群94.9%、比較群97.4%でした。一方、特別な支援を行う学校への在籍は14.4%と0.2%、遠隔教育のTe Kuraは2.1%と0.2%、ホームスクーリングは2.2%と0.9%です。年内に学びの場を変えた場合は、複数の区分に入ります。

図1は、比較群を1として各区分の比を示しています。黒はASD群全体、青は知的障害の記録がない群、赤は記録がある群です。特別な支援を行う学校の比は右側に大きく離れていますが、全体の在籍の比は1を少し下回ります。横軸は対数目盛なので、点の間隔を割合の差として読む図ではありません。ニュージーランドの義務教育の開始は6歳で、対象に含まれる5歳の未在籍を一律に教育からの排除とは扱えません。

図1。在籍の比を黒(ASD全体)・青(知的障害の記録なし)・赤(記録あり)で示します。1を少し下回る学校全体の在籍と、右へ離れる特別な支援を行う学校への在籍は、異なる指標です。
図1。在籍の比を黒(ASD全体)・青(知的障害の記録なし)・赤(記録あり)で示します。1を少し下回る学校全体の在籍と、右へ離れる特別な支援を行う学校への在籍は、異なる指標です。
引用元画面:International Journal of Population Data Science(2026-11-04取得)/Nicholas Bowden, Francesca Anns, Sally Clendon, Joanne Dacombe, Lisa Meehan, Hien Vu, Emma Woodford, Laurie McLay / International Journal of Population Data Science/原典の条件:CC BY 4.0本文の説明・検討のために引用。原典:Enrolment, Attendance, and Education Resourcing and Support among 5-12 year old Autistic Students in Aotearoa New Zealand: A Nationwide Cross-sectional Study原典の表示内容を変更せずWebPへ形式変換。継ぎ合わせ、数値変更、再組版、描き直しなし。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
図1。在籍の比を黒(ASD全体)・青(知的障害の記録なし)・赤(記録あり)で示します。1を少し下回る学校全体の在籍と、右へ離れる特別な支援を行う学校への在籍は、異なる指標です。

定期的な出席49.3%と61.2%――在籍の先を見る

午前・午後をそれぞれ半日として、出席が90%を超えた「定期的な出席」は、ASD群49.3%、比較群61.2%でした。出席が70%以下の「慢性的な欠席」に当たる割合は7.7%と3.2%です。これは日本の不登校の定義と同じ指標ではありません。

図2では、比較群を1とすると、定期的な出席の点は左側、欠席の多い区分は右側です。ASD群全体の比は、定期的な出席で0.80、慢性的な欠席で2.45でした。横線は95%信頼区間です。出席の区分ごとに、二つの集団でどの程度違うかを示しています。

図2。定期的な出席の比は1より左、欠席が多い区分は右です。点が比、横線が95%信頼区間で、出席率そのものの棒グラフではありません。
図2。定期的な出席の比は1より左、欠席が多い区分は右です。点が比、横線が95%信頼区間で、出席率そのものの棒グラフではありません。
引用元画面:International Journal of Population Data Science(2026-11-04取得)/Nicholas Bowden, Francesca Anns, Sally Clendon, Joanne Dacombe, Lisa Meehan, Hien Vu, Emma Woodford, Laurie McLay / International Journal of Population Data Science/原典の条件:CC BY 4.0本文の説明・検討のために引用。原典:Enrolment, Attendance, and Education Resourcing and Support among 5-12 year old Autistic Students in Aotearoa New Zealand: A Nationwide Cross-sectional Study原典の表示内容を変更せずWebPへ形式変換。継ぎ合わせ、数値変更、再組版、描き直しなし。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
図2。定期的な出席の比は1より左、欠席が多い区分は右です。点が比、横線が95%信頼区間で、出席率そのものの棒グラフではありません。

サービスの利用件数に加え、学校生活の記録を見る

ASD群では、継続的な支援資源の制度ORSを利用した記録が30.6%、比較群は0.7%でした。行動やコミュニケーションを支えるサービスなどの利用も、ASD群で多く記録されています。

支援の利用が多いことと、出席の割合が低いことは、同じデータの中で見つかりました。ただし、この比較から支援の効果や欠席の原因までは判断できません。サービスを届けた後の学校生活まで調べることに、今回の記録をつなげた分析の意味があります。

この記事のまとめ

  • 在籍・出席・支援利用を分けて調べた

    2019年の記録を用い、ASD群8,040人と比較群80,367人を対応させました。定期的な出席は49.3%と61.2%で、支援利用の多さと学校参加は一致していませんでした。

  • 支援が届くことと、参加できることを同時に見る

    支援利用が多い一方で、定期的な出席の割合は比較群より低い結果でした。サービスの利用と、日々の学校生活を一緒に見る意味があります。

  • 日本にも、学校生活や学習を支える役割がある

    国立特別支援教育総合研究所は、支援員の役割として生活上の介助、学習支援、健康・安全の確保などを挙げています。ニュージーランドの出席区分や支援制度とは仕組みが異なるため、今回の割合を日本に当てはめることはできません。

    日本の参考資料:国立特別支援教育総合研究所:特別支援教育支援員とは
  • 支援の有無と、本人の参加の様子を分けて振り返る

    日本の学校参加を考える際にも、支援の用意に加え、授業や行事に本人がどう関われているかを見られます。サービスの利用記録を、日々の過ごし方の記録へつなぐという読み方です。

    日本の参考資料:国立特別支援教育総合研究所:特別支援教育支援員とは

日本の制度・資料の確認:2026年11月4日。

出典

Enrolment, Attendance, and Education Resourcing and Support among 5-12 year old Autistic Students in Aotearoa New Zealand: A Nationwide Cross-sectional Study
原典日:2026-03-19 / 取得:2026-11-04

画像について

冒頭のイラストは、学校への入口と日々の通学を表したイメージです。研究対象となった学校や教室を再現したものではありません。