ADHDのある子のきょうだい、友人関係で困っていない? バングラデシュの95人を親が評価

注意欠如・多動症(ADHD)のある子どもを支える家族では、きょうだいの暮らしはどう見えているのでしょうか。バングラデシュで親が回答した調査では、困難の総得点が高い範囲に入ったのは95人中7人でした。一方、友人関係だけを見ると12人が高い困難の範囲に入り、総得点とは違う様子が見えてきました。
診療に来た家族の、きょうだいを対象にする
調査は2022年3月から2024年8月に、Bangabandhu Sheikh Mujib Medical Universityの精神科で行われました。ADHDと診断された子どもの家族から、条件に合うきょうだいを募っています。118家族の適格性を調べ、最終的にデータのそろった95人を分析しました。
既に精神疾患の診断を受けているきょうだいや、継続したケアを要する慢性疾患のあるきょうだいなどは対象から外れています。そのため、ADHD児のきょうだい全体を無作為に集めた調査ではなく、この診療の場と募集条件に合う子どもの経験を捉えています。
原著の図1では、118家族から102家族を募集し、欠測7件を除いた95人を分析しています。診療に来た家族から条件に合う人を選んだ過程が分かり、この結果を地域のすべてのきょうだいの割合として読むことはできません。

出典:©2026 A.H.M Mostofa Kamal et al. / Cureus。PDF提供:PubMed Central(NLM)。 / Figure 1 / CC BY 4.0
NLMが正規配信する正式版PDFの原図表全体・原caption・注記を連続範囲で画像化しWebPへ変換。数値/文字/配列を変えず、翻訳画像・継ぎ合わせ・補修なし。
図表を原寸で読む(横に移動できます)

図表の出典と表示範囲
Emotional and Behavioral Problems Among Siblings of Children With Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder in a Tertiary Child Psychiatry Setting in Bangladesh: A Cross-Sectional Study
A.H.M Mostofa Kamal et al.
Published version deposited in PMC; PMC13624175.1 / PDF 3頁
Figure 1
PDF取得:2026-11-04 / 画像化:2026-11-04(原PDFを216 dpiで画像化)
総得点と、友人関係の得点では見え方が違った
親が答えたのは、バングラ語版の「子どもの強さと困難さアンケート」、SDQです。25項目で、感情、行動、多動・不注意、友人関係、人を助けるような行動を分けて尋ねています。各領域と、四領域を合わせた困難の総得点を、それぞれ分類しました。
95人の総得点では81人が通常範囲、7人が境界域、7人が高い困難を示す範囲でした。領域別で高い困難を示す範囲だったのは、友人関係12人、行動11人、多動・不注意7人、感情3人、向社会的行動の領域2人です。領域ごとに回答の分布が異なり、総得点だけでは見えにくい違いが表れています。
表2では、友人関係、行動、感情などを別々に示しています。総得点の区分だけでなく、どの場面で困難が現れているかを見られます。「向社会的行動」は、人を助けるような行動のことで、この欄では低い得点ほど困難を表します。困難の範囲に入った2人という数字は、この採点基準による区分です。

出典:©2026 A.H.M Mostofa Kamal et al. / Cureus。PDF提供:PubMed Central(NLM)。 / Table 2 / CC BY 4.0
NLMが正規配信する正式版PDFの原図表全体・原caption・注記を連続範囲で画像化しWebPへ変換。数値/文字/配列を変えず、翻訳画像・継ぎ合わせ・補修なし。
図表を原寸で読む(横に移動できます)

図表の出典と表示範囲
Emotional and Behavioral Problems Among Siblings of Children With Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder in a Tertiary Child Psychiatry Setting in Bangladesh: A Cross-Sectional Study
A.H.M Mostofa Kamal et al.
Published version deposited in PMC; PMC13624175.1 / PDF 6頁
Table 2
PDF取得:2026-11-04 / 画像化:2026-11-04(原PDFを216 dpiで画像化)
今回の数値は、親から見たきょうだいの様子
11〜17歳のきょうだいには本人用のSDQも集めました。ただし、論文の統計分析には、95人全員にそろう親の回答だけを使っています。今回の数字は、本人が直接説明した困りごとの割合ではなく、親がきょうだいをどう見ていたかという結果です。
SDQの得点は、支援が必要な可能性を捉えるためのもので、診断そのものではありません。今回は比較群を置いていないため、ほかの家庭の子どもより困難が多いかまでは分かりません。きょうだいの友人関係や気持ちに目を向けた、親からの回答です。
この記事のまとめ
- ADHD児のきょうだい95人の暮らしを、親の回答から調べた
ダッカの診療に関わる家族から、感情、行動、友人関係などを分けて記録しました。既に診断があるきょうだいなどは対象外です。
- 家族支援の中で、きょうだいの違いにも目を向ける
総得点では捉えにくい友人関係や行動の困難が、領域別の集計に表れました。きょうだいの暮らしを、親の回答から細かく見ています。
- 日本の指針も、きょうだいを含む家族支援を位置付ける
児童発達支援ガイドラインは、きょうだいへの相談援助や交流の機会を挙げています。海外研究が聞いた友人関係や気持ちと照らすと、子ども本人への支援に加え、きょうだいが話せる機会へ目を向けられます。
日本の参考資料:こども家庭庁:児童発達支援ガイドライン(令和6年7月) - 親から見た様子と、本人が感じることを分けて捉える
国内のきょうだい支援と照らしても、親が気付いた様子に加え、きょうだい本人が学校や友人との時間をどう感じるかを聞けます。家族全体への支援の中に、その子自身の経験を置くための読み方です。
日本の参考資料:こども家庭庁:児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)
日本の制度・資料の確認:2026年11月4日。
出典
Emotional and Behavioral Problems Among Siblings of Children With Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder in a Tertiary Child Psychiatry Setting in Bangladesh: A Cross-Sectional Study(NLM公開の原著PDF)
原典日:2026-08-30 / 取得:2026-11-04
画像について
冒頭のイラストは、家族の中で暮らすきょうだいにも目を向けるという記事のイメージです。研究の参加者や診療室を再現したものではありません。



