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R0322 / カナダ

療育は成果だけで選ばれる? カナダの親87人は、子どもの尊重と専門職との関係にも言及

活動の三つの選択肢と計画ノートを描いた説明イラスト。

支援で変化が見られれば、それだけで親は納得するのでしょうか。カナダで療育への見方を尋ねると、成果に加え、子どもの自主性を尊重するか、専門職と親が協力できるかが語られました。親が支援を受け入れる理由には、子どもがどう扱われるかも関わっていました。

利用した親と、利用経験のない親の意見を収集

募集は2022年1〜8月に、SNSや自閉症関連団体の連絡網などで行われました。少なくとも一種類のサービスについて質問を完了した87人を分析しています。対象は、カナダに住み、英語で回答できるか、回答の手助けを得られる親です。

質問したのは、作業療法、言語聴覚の支援、応用行動分析に基づく支援です。利用経験がなくても答えられる設計で、親が回答した子の現在年齢には2〜28歳が含まれます。利用した親と未利用の親、未成年の子と成人した子の親から、小児期のサービスへの見方を集めました。

表1の続きでは、子どもの言語聴覚の支援への参加経験を答えた親が72人、応用行動分析への参加経験を答えた親が41人と記録されています。サービスへの意見を答えた人数は、それぞれ78人と77人です。利用経験者と、意見を持つ回答者の範囲が一致しないため、全ての得点を利用後の満足度と読むことはできません。

表1の続き。言語聴覚の支援への参加経験を答えた親は72人、応用行動分析は41人です。意見を答えた人数とは異なり、未利用者の見方が含まれることを理解する手がかりになります。
表1の続き。言語聴覚の支援への参加経験を答えた親は72人、応用行動分析は41人です。意見を答えた人数とは異なり、未利用者の見方が含まれることを理解する手がかりになります。
出典:© 2026 Caven et al., PLOS One 21(8):e0353678 / Table 1(8頁の続き) / CC BY 4.0
原典の表示内容を変更せずWebPへ形式変換。継ぎ合わせ、数値変更、再組版、描き直しなし。 表1は8頁に続く部分のみを採用。表2は全表。
図表を原寸で読む(横に移動できます)
表1の続き。言語聴覚の支援への参加経験を答えた親は72人、応用行動分析は41人です。意見を答えた人数とは異なり、未利用者の見方が含まれることを理解する手がかりになります。
図表の出典と表示範囲

Parent perspectives on services available to autistic children in Canada: A mixed methods survey study
Isabelle Caven, Yani Hamdani, Yona Lunsky, Courtney Weaver, Melanie Penner
PLOS One 21(8):e0353678 (2026-08-20) / PDF 8頁
Table 1(8頁の続き)
PDF取得:2026-11-04 / 画像化:2026-11-04(原PDFを144 dpiで画像化)

受け入れやすさの得点は、サービスで違った

受け入れやすさの得点は0〜64点です。中央値は、言語の支援41.5点、作業療法40点、応用行動分析28点でした。回答人数もそれぞれ78人、87人、77人と異なります。今回比べたのは、治療後の検査成績ではなく、親がどう受け止めていたかという得点です。

では、得点の違いを生んだのは、どのような見方だったのでしょうか。応用行動分析では利用経験の有無で得点が異なり、自由記述にも肯定・否定の両方の経験がありました。点数に続いて自由記述を読むと、親が成果以外に何を見ていたかが分かります。

子どもの自主性、親の参加、専門職との相性

自由記述を整理した三つの観点は、価値観との一致、成果の実感、親の参加でした。例えば、子どもを変えることより、活動への参加を支えてほしいという声がありました。成果を感じたという親の話にも、専門職との相性が関わっています。親が評価していたのは、何が変わったかと、その過程でどう関わってもらったかの両方でした。

表2では、支援の目標と方法が自分の価値観に合うかを尋ねています。目標に「賛成」「強く賛成」は、作業療法が43人と25人、言語の支援が41人と26人、応用行動分析が12人と12人でした。右欄には、子どもを変えるより参加を支えたい、話しことばを重視しすぎないでほしい、という自由記述の例があります。研究者が選んだ発言で、回答全体の傾向を数えた欄ではありません。

表2。目標・方法が価値観に合うかを五段階で集計し、右欄に自由記述の例を置いています。数値は回答人数、引用文は研究者が選んだ例で、全意見を代表するものではありません。
表2。目標・方法が価値観に合うかを五段階で集計し、右欄に自由記述の例を置いています。数値は回答人数、引用文は研究者が選んだ例で、全意見を代表するものではありません。
出典:© 2026 Caven et al., PLOS One 21(8):e0353678 / Table 2(全体) / CC BY 4.0
原典の表示内容を変更せずWebPへ形式変換。継ぎ合わせ、数値変更、再組版、描き直しなし。 表1は8頁に続く部分のみを採用。表2は全表。
図表を原寸で読む(横に移動できます)
表2。目標・方法が価値観に合うかを五段階で集計し、右欄に自由記述の例を置いています。数値は回答人数、引用文は研究者が選んだ例で、全意見を代表するものではありません。
図表の出典と表示範囲

Parent perspectives on services available to autistic children in Canada: A mixed methods survey study
Isabelle Caven, Yani Hamdani, Yona Lunsky, Courtney Weaver, Melanie Penner
PLOS One 21(8):e0353678 (2026-08-20) / PDF 8頁
Table 2(全体)
PDF取得:2026-11-04 / 画像化:2026-11-04(原PDFを144 dpiで画像化)

子どもの違いを無理に隠す目標へ疑問を示した親もいました。これは、回答した親がサービスをどう受け止めたかという経験です。各療法の効果や害を比較した結果とは異なります。成果に対する評価と、子どもや家族への関わり方に対する評価の両方が語られています。

親が求めていたのは、「できることが増える」という結果だけではありません。子どもの自主性が守られるか、目標を一緒に話せるか、専門職との関係を築けるか。何を達成する支援なのかと、どのように進める支援なのかを分けると、この調査の得点の後ろにある選び方が見えてきます。

この記事のまとめ

  • サービスへの評価を、利用経験と価値観から聞いた

    カナダの親87人に、作業療法・言語の支援・応用行動分析への見方を尋ねました。未利用の親や、成人した子の親も含むため、子どもの治療成績の比較ではありません。

  • 成果だけでなく、尊重や家族との関係を評価の対象にした

    親は成果だけでなく、子どもの自主性、専門職との相性、親との協力を重視していました。サービスを受け入れる理由を、具体的な経験から聞いています。

  • 日本の手引きも、子どもの意思を支える過程を示している

    こども家庭庁の手引きは、選択の機会、意思の表出、意見の表明・実現などを段階に分けています。カナダの親が語った子どもの自主性と照らすと、支援の目標と、その過程で本人がどう選べるかを一緒に考えられます。

    日本の参考資料:こども家庭庁:こどもの意思の尊重・最善の利益の手引き
  • 目標と方法の両方を、本人の意思に照らして考える

    こども家庭庁の手引きが扱う本人の意思と照らしても、目標だけでなく、本人が選べる機会や専門職と話し合う過程を見比べられます。子どもがどのように関わる支援かまで知るための調査です。

    日本の参考資料:こども家庭庁:こどもの意思の尊重・最善の利益の手引き

日本の制度・資料の確認:2026年11月4日。

出典

Parent perspectives on services available to autistic children in Canada: A mixed methods survey study
原典日:2026-08-20 / 取得:2026-11-04

画像について

冒頭のイラストは、活動の選択肢と支援の計画を表したイメージです。実際の調査票や、参加者が利用した療育の場を描いたものではありません。