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R0234 / ドイツ・スイス

ADHDの子どもの食べ方を、保護者の回答からどう捉える? ドイツ語版CEBQの検証

器、スプーン、水のグラスと、閉じたノート・鉛筆を食卓に並べた線画。

子どもが食べ物を欲しがる、食べるのを避ける、気持ちによって食べる量が変わる。こうした様子を、保護者の回答からどう整理できるのでしょうか。ドイツとスイスの研究チームは、注意欠如・多動症(ADHD)や摂食の問題がある子どもを含め、ドイツ語版の「子どもの食行動質問票(CEBQ)」を検証しました。2026年5月8日に学術誌『Journal of Eating Disorders』へ正式掲載された研究です。

35の質問で、食べ方を8つの側面に分ける

CEBQは、保護者が子どもの食べ方について35項目に答える質問票です。「まったくない」から「いつもある」までの5段階で回答し、食べ物への反応、食を楽しむ様子、満腹への反応、食べる速さ、食べ物の好き嫌いなど、8つの側面の得点を求めます。気持ちによって食べる量が増える場合と、減る場合も別々に捉えます。

研究では、ドイツで2018〜2021年、スイスで2011〜2014年に集めた二つの研究のデータを使いました。元の230人分から、CEBQの35項目の75%以上に回答していなかった4人分を除き、226人分を分析対象としています。子どもの年齢は生後9か月から17歳。保護者の回答に加え、身長・体重や臨床面接などの情報を照合しました。

8つのまとまりは支持されたが、適合の評価は一様ではない

研究チームは、元の8因子モデルと、一部の側面をまとめた二つの7因子モデルを比較しました。ここでいう因子モデルは、質問への回答が想定した側面ごとにまとまるかを調べるものです。CEBQの欠測回答は統計的な方法で補完し、因子分析と信頼性分析を行いました。

比較した中では元の8因子モデルが最もよく当てはまりました。ただし、その適合度は指標によって「不十分」から「許容できる」まで分かれています。例えばCFIは0.88で、論文が示す許容基準の0.95に届きませんでした。一方、同じ側面を問う項目どうしのまとまりを示す内的一貫性は、Cronbachのαが0.75〜0.91でした。

8因子モデル二つと7因子モデル二つについて、CFIなどの適合指標とPoor、Acceptable、Goodの評価を示すTable 4。元の8因子モデルのCFIは0.88。
元の8因子モデルのCFIは0.88、RMSEAは0.07でした。項目間の関連を追加すると指標は改善しますが、全指標が一様に良好になったわけではありません。回答を八つの側面に分ける構造が、データへどの程度合うかを比べた表です。
引用元画面:Journal of Eating Disorders / Springer Nature Link(2026-10-15取得)/Julia Ulbrich, Anja Hilbert, Simone Munsch & Ricarda Schmidt(2026), Table 4. © The Author(s) 2026./CC BY 4.0原典:Validation of the German Child Eating Behaviour Questionnaire (CEBQ) in children and adolescents with eating disorders and ADHD.公式Full size画面の図表と原caption/脚注の全範囲を撮影。DOM・図表・文字・数値の変更なし。比率を保って縮小表示。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
8因子モデル二つと7因子モデル二つについて、CFIなどの適合指標とPoor、Acceptable、Goodの評価を示すTable 4。元の8因子モデルのCFIは0.88。

質問項目の関連を追加したモデルでは適合が改善しましたが、著者らは、この標本に合わせすぎる可能性などを考慮し、その後の比較には元の8因子モデルを使っています。保護者が報告した食事制限の日数や体格などと関連する側面もあった一方、「飲み物を欲しがる」側面では、こうした関連を裏付ける有意な相関は見られませんでした。

食べ方の傾向の違いと、診断名の違いは同じではない

診断群の表には、回避・制限性食物摂取症(ARFID)39人、神経性やせ症24人、食べることへの制御を失う感覚がある14人、スイスで募集した8〜12歳のADHD児24人、対照群124人が示されています。食べることへの制御を失う感覚とADHDの両条件に該当した子どもは、前者の群に分類されています。群別の合計は225人で、論文は欠測により全体の226人へ合計しない場合があると注記しています。質問票全体の分析対象と、この群別の人数は区別して読む必要があります。

年齢・性別・体格を調整した群比較では、ADHD群はARFID群や神経性やせ症群より、食べ物への反応や食を楽しむ側面の得点が高くなりました。ただし、飲み物への欲求と、気持ちによって食べる量が減る側面には有意な群差がありませんでした。また、ADHD群と、食べることへの制御を失う感覚がある群との間には、各側面で有意な差が見られませんでした。

食べ物への反応など6側面の群間比較。ADHD、ARFID、神経性やせ症、食べる制御を失う感覚がある群、対照群を結び、実線が有意差、数値が効果量を表す。原captionは飲み物への欲求と感情による食事量減少に有意な群差がないと説明。
五角形の頂点が診断群、実線が有意差のある群の組み合わせ、線上の数字が差の大きさです。ADHD群はARFID群と神経性やせ症群の双方と、食べ物への反応・食を楽しむ側面で差がありました。図だけでは得点の高低は分からないため、方向は本文で説明しています。
引用元画面:Journal of Eating Disorders / Springer Nature Link(2026-10-15取得)/Julia Ulbrich, Anja Hilbert, Simone Munsch & Ricarda Schmidt(2026), Figure 1. © The Author(s) 2026./CC BY 4.0原典:Validation of the German Child Eating Behaviour Questionnaire (CEBQ) in children and adolescents with eating disorders and ADHD.公式Full size画面の図表と原caption/脚注の全範囲を撮影。DOM・図表・文字・数値の変更なし。比率を保って縮小表示。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
食べ物への反応など6側面の群間比較。ADHD、ARFID、神経性やせ症、食べる制御を失う感覚がある群、対照群を結び、実線が有意差、数値が効果量を表す。原captionは飲み物への欲求と感情による食事量減少に有意な群差がないと説明。

この研究は、食べ方の異なる傾向を質問票で捉える手がかりを示していますが、得点から個人の診断を判定できると示したものではありません。著者らも、一部の群が小さいことや、乳児から17歳までの幅広い年齢を一律に扱えないことを挙げています。8つの側面の結果と、面接や保護者の観察との関係を合わせて読むと、この質問票が捉えている内容が見えてきます。

この記事のまとめ

  • 子どもの食べ方を、保護者の回答による8側面で検討した

    ドイツ語版CEBQの検証では、ADHDや摂食の問題がある子どもを含め、食べ物への反応や気持ちによる食事量の変化などを調べました。

  • 「食べない」「食べすぎる」を一つの理由で説明しない

    食べ方の異なる側面を整理できる一方、モデルの適合には弱い指標もありました。質問票による特徴の把握と、個人の診断は別の役割です。

  • 日本の状況と比べると

    日本の児童発達支援では「健康・生活」と「運動・感覚」などを関係づけて支援します。ドイツ語版質問票の得点や基準を、そのまま日本語の評価に置き換えるものではありません。

    日本の参考資料:こども家庭庁:児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)
  • 日本で参考にするなら

    量や好き嫌いだけでなく、食べる場面・気分・感覚などを分けて捉え、必要な専門的相談につなぐための観点として参考にできます。

日本の制度・資料の確認:2026年11月2日。

出典

Validation of the German Child Eating Behaviour Questionnaire (CEBQ) in children and adolescents with eating disorders and ADHD.
原典日:2026-05-08 / 取得:2026-10-14

Supplementary material: Validation of the German CEBQ(ZIP内のPDF5頁)
原典日:公表日未記載 / 取得:2026-10-14

画像について

冒頭の線画は、食事の様子を記録するという記事の主題を表す説明イラストです(Jag Project / AI生成)。実際の研究参加者の食事や、CEBQの質問用紙を再現したものではありません。