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R0323 / バーレーン・サウジアラビア・UAE

運動の力と、段取りや切り替えの困難はどう関わる? 湾岸3か国の自閉症児119人を調査

平均台や足場、ボール、ペグと、順番を示す絵や予定表を並べたイラスト。

予定を立て、必要なことを覚え、行動を切り替える。こうした「実行機能」と、感覚や運動の力はどう関わるのでしょうか。湾岸3か国の自閉スペクトラム症(ASD)児119人の研究では、運動の得点が高いほど、親が答える日常の実行機能の困難は低いという関連が見られました。

6〜12歳の子どもについて、親の回答と検査を実施

参加者は、研究の基準でASDの状態を「軽度」と分類した6〜12歳の子どもです。IQ70以上などの条件を満たし、重い併存状態がある場合は除外されました。この条件に当てはまる119人の評価から、感覚・運動と実行機能の関連を調べています。

親は、家庭での実行機能と感覚の特徴について質問票に答えました。子どもは、それぞれの教育施設で、パソコンを使う実行機能の課題と運動検査を受けています。親が見た日常の様子と、課題の成績を区別して評価しました。

感覚との関連と、運動との関連を別々に分析

感覚と運動の評価は、互いに強く関連していました。そこで研究チームは、感覚と実行機能、運動と実行機能を、別々の統計モデルで調べました。

感覚と運動の評価は、それぞれのモデルで、親が答えた日常の実行機能と、子どもの課題による実行機能の評価に関連していました。運動のモデルでは、運動検査の得点が高いほど、親が答えた実行機能の困難の得点が低いという関係がありました。研究チームがデータに合わせてモデルを調整した後の比較では、運動を使ったモデルの方が、このデータの関係をよく表していました。

原著の図5では、左側の運動の評価から、右上の親回答「BRIEF」と、右下のパソコン課題「CANTAB」へ、二本の矢印が伸びています。親回答の先には、計画、記憶、切り替え、抑制という四つの項目が並びます。運動と親回答を結ぶ係数は−0.74で、運動の得点が高い子どもほど、親が答えた実行機能の困難の得点が低い関係を表しています。図の矢印は、運動を練習すれば記憶や計画が改善するという介入結果ではありません。

図5。運動の評価から、親回答のBRIEFとパソコン課題のCANTABへ矢印が伸びます。親回答への係数−0.74は、運動の得点と日常の困難の得点が逆方向に関連したことを示します。訓練の効果を表す図ではありません。
図5。運動の評価から、親回答のBRIEFとパソコン課題のCANTABへ矢印が伸びます。親回答への係数−0.74は、運動の得点と日常の困難の得点が逆方向に関連したことを示します。訓練の効果を表す図ではありません。
引用元画面:BMC Pediatrics / Springer Nature(2026-11-04取得)/©2025 Rehab H Alsaedi / BMC Pediatrics。/原典の条件:CC BY-NC-ND 4.0本文の説明・検討のために引用。原典:Relation between executive functioning, sensory processing, and motor performance in children with autism / Figure 5原ページの図表・題名・図注をそのまま掲載し、WebPへ変換。文字や図の変更、翻訳、継ぎ合わせはしていません。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
図5。運動の評価から、親回答のBRIEFとパソコン課題のCANTABへ矢印が伸びます。親回答への係数−0.74は、運動の得点と日常の困難の得点が逆方向に関連したことを示します。訓練の効果を表す図ではありません。

運動を使うモデルのほうが、今回のデータに合った

表3は、感覚を使ったモデル1と、運動を使ったモデル2の当てはまりを比較した表です。AICは148.68に対して135.62、BICは223.71に対して207.88でした。これら二つの指標は小さい方を選ぶため、研究チームはモデル2の方が今回のデータの関係をよく表すと判断しています。

表3。モデル1は感覚、モデル2は運動を使っています。モデル2のAICは135.62、BICは207.88で、モデル1の148.68、223.71より小さく、今回のデータに合うと判断された根拠です。
表3。モデル1は感覚、モデル2は運動を使っています。モデル2のAICは135.62、BICは207.88で、モデル1の148.68、223.71より小さく、今回のデータに合うと判断された根拠です。
引用元画面:BMC Pediatrics / Springer Nature(2026-11-04取得)/©2025 Rehab H Alsaedi / BMC Pediatrics。/原典の条件:CC BY-NC-ND 4.0本文の説明・検討のために引用。原典:Relation between executive functioning, sensory processing, and motor performance in children with autism / Table 3原ページの図表・題名・図注をそのまま掲載し、WebPへ変換。文字や図の変更、翻訳、継ぎ合わせはしていません。
図を原寸で確認する(図の中を横に移動できます)
表3。モデル1は感覚、モデル2は運動を使っています。モデル2のAICは135.62、BICは207.88で、モデル1の148.68、223.71より小さく、今回のデータに合うと判断された根拠です。

今回比べたのは、得られたデータをどちらのモデルがよく説明するかです。運動の訓練と感覚への支援の効果を比べたものではありません。データに合わせて調整したモデルなので、別の集団でも同じ関係が現れるかは、さらに確かめる必要があります。

日常の困りごとと、課題の成績を合わせて見る

モデルの矢印は、研究者の仮説に基づいて感覚や運動から実行機能へ向けています。ただし、同じ時点のデータの関係を表したもので、感覚や運動の特徴が先に生じ、実行機能を変えたと確かめたわけではありません。

研究で合わせて見たのは、親が答える家庭での困りごとと、子どもが取り組むパソコン課題の成績です。同じ時点の119人の評価を使い、感覚や運動とのつながりを調べています。

この記事のまとめ

  • 119人の感覚・運動と、日常や課題での実行機能を一緒に調べた

    湾岸3か国の6〜12歳を対象に、親の質問票、パソコン課題、運動検査を組み合わせました。家庭で見える困難と課題の成績を分けて捉えています。

  • 段取りや切り替えの困難を、感覚・運動との関係から捉えた

    親が答える日常の困難と、子どもが取り組む課題の両方を使いました。運動・感覚との同時点の関連を調べており、訓練の効果はまだこの結果からは分かりません。

  • 日本の指針も、運動・感覚と認知・行動を支援の領域に置く

    こども家庭庁の児童発達支援ガイドラインは、本人への支援を五領域から捉えます。海外の研究は別の尺度と対象条件ですが、親が見た生活場面と子どもの課題成績を組み合わせる方法を知る材料になります。

    日本の参考資料:こども家庭庁:児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)
  • 生活で見える困難と、課題で確かめた力を照らし合わせる

    親が見ている暮らしの様子と、子どもが課題に取り組む場面を分け、運動・感覚の特徴との関係を考える視点が参考になります。

    日本の参考資料:こども家庭庁:児童発達支援ガイドライン(令和6年7月)

日本の制度・資料の確認:2026年11月4日。

出典

Relation between executive functioning, sensory processing, and motor performance in children with autism
原典日:2025-06-05 / 取得:2026-11-04

画像について

冒頭のイラストは、運動と段取りを一緒に考えるためのイメージです。研究で使った検査用具や課題画面を再現したものではありません。